【債券投資】富裕層が1億円の債券ポートフォリオを組むにあたって注意すべきこと

2023年8月10日(木)

株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルの所属IFA、亀井岬と申します。

金融資産が1億円以上保有される富裕層の方々からご相談をお受けしております。

専門家や機関投資家が愛用するブルームバーグの専用情報端末を利用し、債券分析やポートフォリオ分析を行っております。現在は数十世帯から数十億円の資産を仲介する証券口座で管理し、資産運用のアドバイスを行っております。

本日は債券投資に関わるお話として富裕層が債券ポートフォリオを組むにあたって注意すべきことについて、お伝えさせていただければと存じます。

目次

富裕層が1億円の債券ポートフォリオを組むにあたって注意すべきこと

個別セミナーやホームページからのお問合せとして定期的にご相談いただく内容として、「債券ポートフォリオを検討したい」というものがございます。その際にご相談者様へ特にお伝えしている内容について本日はご紹介させていただければと思います。

  • 分散投資がしっかり行えているか

結論としては、「分散投資がしっかり行えているか」という観点を特にお伝えさせていただいております。その中でも以下3つの観点で分散投資について一緒に検討させて頂いております。

分散投資の3つの観点

  • 銘柄分散について
  • 格付分散について
  • 期間分散について
1. 銘柄分散について

銘柄分散とは投資におけるリスクを減らすためにさまざまな銘柄(企業や、国)に資金を分散投資することを指します。債券における銘柄分散について次の章で詳しく考えを述べさせていただきます。

2. 格付分散について

債券における格付けを分散するとは、投資する債券の信用格付け(Credit Rating)を異なる等級のものに分散することを指します。信用格付けは、格付け機関が発行者(通常は企業や政府)の信用力(債務を返済する能力)を評価したものです。債券における格付分散について以降で詳しく考えを述べさせていただきます。

3. 期間分散について

債券は発行時に満期が決まっているものから満期の決まっていないものまで、様々な種類が存在します。期間分散とはそのような債券の満期という側面に注目し、その満期の時期の集中を避けるために分散投資を行うという考え方です。債券における期間分散について以降で詳しく考えを述べさせていただきます。

銘柄分散について

銘柄分散とは投資におけるリスクを減らすためにさまざまな銘柄(企業や、国)に資金を分散投資することを指します。債券における銘柄分散について詳しく私の考えを述べさせていただきます。

  • 1銘柄あたりの投資割合をしっかり管理する
  • 違う満期の同じ発行体の債券は同一銘柄と考えて投資割合を計算する
1. 1銘柄あたりの投資割合をしっかり管理する

債券における投資割合を管理する大きな目的は、債券を発行している会社や国が投資家にお金を返せないといった事態に陥った場合にその影響を保有資産の一定割合に限定するためです。例えば、Aという会社の債券に1000万円の投資を行い、投資家の金融資産が1億円であれば、投資割合は10%となります。重要なことは金融資産に対して投資割合を管理するのか、それとも運用資産に対して投資割合を管理するのか、その一定の尺度を持って債券の投資割合を管理するということです。

2.違う満期の同じ発行体の債券は同一銘柄と考えて投資割合を計算する

2年満期のA社の債券と、5年満期A社の債券の2つを保有している場合、それぞれ満期が異なっているため、別々に債券の投資割合を管理すればよいだろうと考えがちですが、私はそのような考え方をお勧めしておりません。理由としては、例えばA社債券2銘柄に投資後、2年以内にA社がお金を返せない事態となれば、2年満期と5年満期の両方の債券がデフォルトとなる可能性が出てくるためです。そのような悲惨な事態を避けるため、私は同じ発行体への投資はひとつの塊の投資と考え、投資割合を管理することをおすすめしています。

格付分散について

債券における格付けを分散するとは、投資する債券の信用格付け(Credit Rating)を異なる等級のものに分散することを指します。信用格付けは、格付け機関が発行者(通常は企業や政府)の信用力(債務を返済する能力)を評価したものです。債券における格付分散について詳しく考えを述べさせていただきます。

  • 低格付けばかりの債券投資になっていないか
  • 日本の格付け会社か米国の格付け会社どちらの格付を参考に債券投資を考えるか
1.低格付けばかりの債券投資になっていないか

債券投資において利回りにまず目が行くことは当然かと思います。一方で他の債券に比べて高い利回りの債券に出会った場合、その利回りの裏付けは何なのか?ということを意識することが重要です。利回りを構成する要素として債券を発行している発行体の格付けや信用力という要素が挙げられます。利回りを重視するあまり、格付けが低い債券ばかりに投資を行う形になってはいないか点検する必要があります。

2.日本の格付会社か米国の格付会社どちらの格付を参考に債券投資を考えるか

特に日本企業の債券に投資するに当たっては、その債券の格付けが日本の格付け会社、米国の格付け会社どちらの格付け会社によって付与された格付けなのかという点は注意すべきポイントとしてお伝えしています。それほど違いが生じるのかと思われるかもしれませんが、同じ会社に対する格付け評価が日本と米国の格付け会社で数等級異なるということは実際に起こっています。日本と米国それぞれの格付けを比較し、債券購入を検討することが必要だと考えております。

期間分散について

債券は発行時に満期が決まっているものから満期の決まっていないものまで、様々な種類が存在します。期間分散とはそのような債券の満期という側面に注目し、その満期の時期の集中をさけるために分散投資を行うという考え方です。債券における期間分散について詳しく考えを述べさせていただきます。

  • 満期が長いものほど金利変動の影響を受ける
  • 初回コール日を信用して良いのか?
1.満期が長いものほど金利変動の影響を受ける

債券の価格変動要因として、市場金利の動向が挙げられます。例えばですが、満期までの残存期間が長い債券やクーポンが低い債券は、残存期間が短い債券やクーポンが高い債券に比べて、金利の変動によって価格が大きく変動することが多いです。この債券価格の金利に対する感応度を年数で表したものを「デュレーション」と呼びます。デュレーションが長いほど、債券は金利の変動に対して感応度が高くなり、結果、債券価格の変動がより大きくなります。

最近ご相談を受ける内容として、「満期までの期間が長い債券であっても、途中で値上がりした時に売却すれば良いんですよね?」というお話がございます。この考え方には注意すべきポイントがあると思っています。それは「途中ですぐに値上がりするとは限らない。」ということです。

ご相談者様の感覚としては、市場金利が今後低下することを想定しているからこその発言だと思いますが、マーケットは何が起こるか分かりません。天井だと思っていた市場金利が数年単位でさらに上昇する可能性も当然存在し、その際に満期までの期間が長い債券ばかりを購入しているとそのポートフォリオはどうなるでしょうか?

満期までの期間が長い債券はデュレーションが長いことが想定されるため、想定外の金利上昇でドルベースでの大きな含み損を抱えることも想定されます。途中売却を前提に購入していたために、実は5年後には必要なお金で投資をしていたが含み損で身動きが取れないといったお話も伺います。このような事態を避けるためにはしっかりライフプランを行い、将来に必要な資金額の把握を行うことで、債券の保有期間を許容範囲にコントロールすることだと考えています。

2.初回コール日を信用して良いのか?

最後に少し専門的なお話になりますが、債券には初回コール日が設定された債券が存在します。初回コール日とは、特定の債券において、早期償還条項が付与されている場合に、その条件が発動される日付のことを指します。最近ご相談を受けていて違和感を感じるのは、この初回コール日でかなり高い確率で債券が満期になることを想定し、投資を行っているご相談者様が多いということです。

初回コール日に早期償還条項が発動され、債券が満期になるかどうかは、あくまで発行体が判断するものであり、早期償還を前提として、債券の想定保有期間を考えるのは危険だと私は考えています。購入した債券によっては、初回コール日で早期償還にならなかった場合に、一気に想定保有期間が長くなる可能性もありますし、初回コール日の設定のある債券投資には、より専門的な知識が必要だと私は考えております。

おわりに(富裕層の方々へ)

金融資産1億円以上の富裕層の方々は本当に様々なお悩みを抱えていらっしゃいます。私は16年間金融のプロフェッショナルとして、日本と海外で、富裕層のお客様のお役に立つべく、研鑽を積んで参りました。

どのようなお悩みでも構いません。よろしければ亀井岬までご相談くださいませ。この度は長文をお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

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※当資料は情報提供を目的としており、取り扱い商品に係る売買を勧誘するものではありません。情報・データの内容は正確性、完全性に慎重を期してはおりますが、これを保証するものではありません。記載された筆者の意見及び予測等は当資料作成時点のものであり、予告なしに変更することがあります。当資料により生じた、いかなる損失、損害についても筆者は責任を負いません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。

(所属金融商品取引業者)

楽天証券株式会社 登録番号:関東財務局長 (金商)第195号 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本商品先物取引協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会

株式会社SBI証券 登録番号:関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会

あかつき証券株式会社 登録番号:関東財務局長 (金商)第67号 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会

東海東京証券株式会社 登録番号:東海財務局長 (金商)第140号 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会

野村アセットマネジメント株式会社 登録番号:関東財務局長 (金商)第373号 加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

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