【IFAコラム】富裕層の資産運用(複利効果の投資について)

2024年1月29日(月)

株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルの所属IFA、亀井岬と申します。

金融資産を1億円以上保有される富裕層の方々からご相談をお受けしております。

専門家や機関投資家が愛用するブルームバーグの専用情報端末を利用し、債券分析やポートフォリオ分析を行っております。現在は数十世帯から数十億円の資産を仲介する証券口座で管理し、資産運用のアドバイスを行っております。

本日は「富裕層の資産運用(複利効果の投資について)」についてお話させていだければと存じます。最後までご覧いただけましたら幸いです。

目次

富裕層の資産運用(複利効果の投資について)

複利運用という言葉を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。本日は複利運用とはどのようなものなのか、そして富裕層における複利運用の注意点についてポイントを絞ってお伝えしていきたいと思います。

・単利と複利とは

・ご年齢によっては果実を得ることも重要

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単利と複利とは

まず単利計算ですが、これは当初の元本の金額のままで運用し、利益は新たな投資には回さず、手元に置いておいた場合の利益の計算方法なります。

一方で複利計算とは当初の元本に加えて、毎年得られた利益も投資に回してさらなる利益を得ようと試みた場合の計算方法です。では実際にどのような違いが生じるのでしょうか?

・単利計算とは

・複利計算とは

1.単利計算とは

※前提として利益に対する税金は考慮していません。

まず最初に単利計算についてですが、上の図は投資元本が100とした場合に、毎年5%の利益を税引前で計上したと仮定して計算しています。

投資元本が100から全く変わらないことからわかるように、毎年の利益は配当や分配あるいは売却を通じて手元に確保しているため、投資元本は常に100で一定となるよう計算しています。

当然ながら手元に残した利益は再投資には回さず、消費や貯蓄に回っている前提で考えています。結果的に10年後の累計の利益は50となり投資元本100に対するリターンは50%となりました。

2.複利計算とは

※前提として利益に対する税金は考慮していません。

次に複利計算ですが、こちらの図は毎年の5%の利益を手元では受け取らず、税金を考慮せずに再投資に回した結果を表したものです。

単利計算においては10年後の累計利益は50%であったのに対して、複利計算においては10年後の累計利益が62.9%まで上昇しております。

その差は12.9%となっており、この条件で1億円の運用を10年間行っていたと仮定すると、単利運用を用いるか複利運用を用いるかで、1290万円の差が生じていたことを表しています。

この差はどこから生じているのでしょうか?明らかなように今回のシミュレーションではマーケットが毎年5%常に上昇していたという環境を想定しています。

このように継続して上昇するマーケット環境の中では、手元にお金を置いておくよりも再投資を行うことで利益が利益を生んだ結果、差が生じていると言えます。

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ご年齢によっては果実を得ることも重要

それではすべての年代の方にとって、資産を出来るだけ投資に回し、複利運用を重視すべきなのでしょうか?

私は例えば以下のような局面や考え方、人生の節目においてはしっかりと資産を取り崩して、資産運用を行うことも検討に値すると考えています。

資産は何のために存在するのか

・キャッシュフローの変わり目を把握すること

・相場が下落する局面

1.資産は何のために存在するのか

資産はなぜ存在するのかと言うと、最終的には消費することで人生を豊かにするために存在すると私は考えています。

つまり利益を再投資に回して、利益が利益を生むと言う複利運用の環境を作ることが資産運用の目的ではなく、不安のない豊かな老後、あるいは次世代に承継する資産をしっかりと確保することが目的であると思っております。

よって最終的には資産を消費するために、資産運用という手段で利益を追求しているに過ぎません。しかしこの資産運用の大事な目的を忘れてしまっている事例を耳にします。

仕事中や家族と過ごす間もマーケット動向が気になってしまい、限られた人生の大切な場面に集中出来なかったり、少しの損失を取り戻そうと大きなリスクをとって、大切な資産が失われてしまうといったお話です。

資産運用が人生を豊かにするための手段である場合、複利運用だけでなく単利運用を行い、毎年の利益を取り崩していくような考え方があっても良いと思います

2.キャッシュフローの変わり目を把握すること

特に複利運用から単利運用に切り替えることを検討する機会として、収入の減少に伴うキャッシュフローの変化が訪れるタイミングが挙げられるかと思います。

過去の相場の状況から考えると消費を節約して資産運用に資金をどんどん回した方が、さらに資産が増える可能性が高いとお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。

一方で、お金は棺桶には持ってはいけません。次世代に引き継ぐという感覚も大事ですが、自分自身の消費欲を抑えてまで次世代に残す必要は、私はないと考えています。

よって消費を行うための運用資産の取り崩しを考えるタイミングとして、まずはキャッシュフローの変化が生じる時点をお勧めしたいと思います。

3.相場が下落する局面

最後に資産取り崩しの効果が出る局面として、相場が下落する局面が挙げられます。昨今はなかなか見られませんが、例えば投資の出口戦略を考えるべき60代後半や70代において、5年程度の継続した下落局面が訪れたとします。

この場合、資産を取り崩さずに複利を意識した運用を続けていた方が良かったと言えるでしょうか?

全くそうは言えません。なぜなら相場の下落が継続した場合には、投資に回す資産を減らし投資元本を取り崩していった方がトータルの損失は小さくなるからです。

これは運用に回されるお金が資産の取り崩しによって減少したことが理由です。しかし出口戦略を考えるべき60代後半や70代においても複利運用にこだわり、資産の取り崩しを最小限に留めていた場合、下落局面での影響はどうでしょうか?

投資に回している資産が多い分、同じ下落率でも絶対値として失う資産額は多くなります。投資の終盤戦においては思わぬ下落によって、利益の多くが失われてしまう可能性もあります。

資産運用においては最終的な出口戦略をどのように遂行するのかしっかり想定しておくことが必要です。

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