【コラム】1億円の資産運用:ポートフォリオをどう組むのか
2023年9月13日(水)
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルの所属IFA、亀井岬と申します。
金融資産を1億円以上保有される富裕層の方々からご相談をお受けしております。
専門家や機関投資家が愛用するブルームバーグの専用情報端末を利用し、債券分析やポートフォリオ分析を行っております。現在は数十世帯から数十億円の資産を仲介する証券口座で管理し、資産運用のアドバイスを行っております。
本日はご相談者様からのお問合せも多い、「1億円でポートフォリオをどのように組むのか」ということをお話させて頂ければと存じます。
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ポートフォリオ具体例
上記ポートフォリオは具体的な組み入れ銘柄の記載はしていませんが、外国債券60%、海外株式25%、国内株式15%という形で、実際に私がお客様にご提案差し上げたことのあるポートフォリオの投資割合となります。
この割合をご覧になられてどのようにお感じになりましたか?「債券の割合が多すぎるんじゃないか。」「もっと海外株式で運用を行った方が良い。」など様々なご意見があるかと思います。
ご意見はもっともです。なぜならご相談者様それぞれのポートフォリオ割合は、それぞれの方の状況を勘案して決定されるもので、同じにはならないからです。
それでは具体的に1億円のポートフォリオについて考えていくためには、どのようなことに配慮すれば良いのでしょうか
1億円のポートフォリオを考えるにあたって
さきほどポートフォリオの割合について触れさせていただきました。まず具体的なポートフォリオ割合を決めていくためにもっとも重要なこととは何でしょうでか?私は「目標リターン」を決めることが肝要だと考えています。
目標リターンを決めることで、取るべきリスク量が具体的になっていき、取るべきリスク量が具体的になれば、具体的なポートフォリオ像が見えてくると考えています。
そして具体的なリスク量とポートフォリオ像について考えることで、改めて目標リターンが適切であったのか、見つめ直すことが出来ます。
それでは具体的にリターンについて私がご相談者様にお伝えしていることの一部について、その要点をお伝えしていきたいと思います。
- 何%のリターンを目指すのか
- なぜそのリターン水準を目指すのか
- どれだけのリスクを取って、そのリターンを目指すのか
- 本当に余裕資金かどうか
- 1.何%のリターンを目指すのか
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16年間のアドバイザー人生の感覚として年率7%以上を目指すというのはポートフォリオのどこかに無理が生じるように感じています。
私自身はお客様に日本の円金利が0%近辺で推移している中で、年率4%のリターンを目指すことが限界ではないかとお伝えしています。
この4%のリターンも海外の資産に投資をすることで達成を目指すわけですから、為替のブレだけで1年で消し飛んでしまうようなリターン水準です。
よって毎年コンスタントに4%ということではなく、5年間の運用で20%増えるというのが一つの目標ではないかと考えています。
- 2.なぜそのリターン水準を目指すのか
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話は少し前後しますが、そもそも〇%のリターンを目指す理由を明確にしないまま運用する方が非常に多いと思います。よくありがちなのがとりあえずポートフォリオを組んでみたら、過去これぐらいのリターンが出ているから、それを目標リターンにしよう、という流れです。
特に資産形成層においては、〇歳にいくらの金融資産に達成するための手段として運用があると思っています。よってその目標を明確にしないままポートフォリオを組むことは危ういと考えています。
- 3.どれだけのリスクを取って、そのリターンを目指すのか
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なぜ私が金融資産の目標金額を決めないまま、ポートフォリオを構築することが危ういと考えているかと申しますと、リターンというのはあくまで運用で取ったリスクに見合った分しか提供されないものだと考えているからです。
つまりリターンありきでポートフォリオを組んでしまうと、運用者の年齢、収入、投資経験以上のリスクをはからずも取ってしまっていたという状況が起こる可能性が高くなり、大きな相場変動時に想定以上の値動きが生じることも考えられます。
- 4.本当に余裕資金かどうか
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この点についても非常に重要だと考えています。多くの方が手元の余裕資金を使って運用を行うものだと思いますが、その余裕資金は将来どこかのタイミングで必要となる資金ではないか?
この点が運用開始時点に見過ごされがちであり、結果として、余裕資金だと思ってまとまった投資を行った資金が、まったく余裕資金ではなかったという問題が起こっています。
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どのような投資割合でポートフォリオを組むのか?(債券?株式?)
前章では目標リターンを決めることで、取るべきリスク量について把握することが出来、具体的なポートフォリオについて考えることが出来るようになると申し上げました。
では具体的にポートフォリオを考えるにあたって、お伝えしている点について触れていきたいと思います。
- 米国でよく聞く投資割合
- 代替投資は必要?
- 1.米国でよく聞く投資割合
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米国ではいわゆる株式60,債券40の60:40のポートフォリオというものが有名です。これを日本人にそのまま当てはめてよいかと考えますと、そう単純な話ではないかなと考えております。
理由としては米国での60:40のポートフォリオは基本米国の資産を中心に構築されており、ドルで生活する米国居住者が、ドルでの運用を行うわけですから、為替リスクを受けない投資が行われているものと考えられるからです。
一方で日本人が海外資産に投資を行うためには原則は為替リスクを取る必要があります。為替の振れ幅は時には無視出来ない程大きなもので、そういったリスクを勘案した上で投資割合を構築する必要があると考えています。
- 2.代替投資は必要?
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代替資産としてよく名前が挙がってくるものとしては、不動産投資、ヘッジファンド、実物資産などでしょうか?こういったものに1億円の資産の一定割合を投資する必要があるのか?
私自身は、金融資産をいくら保有しているのか、流動性リスクをどこまで取れるのかなど、いくつかの条件を考慮した上で投資を検討することが必要であると考えています。
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注意すること
では具体的なポートフォリオについて考えるにあたって どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。私がご相談者様にお伝えしている内容の一部をご紹介させていただきます。
- 一撃で大きく資産が目減りするような投資となっていないか?
- 過去のデータが取れない商品には注意する
- 1.一撃で資産が大きく目減りするような投資となっていないか?
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一撃で大きく資産が目減りする可能性がある状況としては、まず個別企業や国のデフォルトに直面する場合が挙げられるかと存じます。
例えば、円建てなのに利回りが高い債券、ドル建てで米国債に比べて倍程度するような利回りの債券、世の中には一見すると魅力的に思えるような利回りを提供している商品が散見されます。
一方であくまでリターンの源泉は投資先のリスクに見合ったものであるという考え方が通例ですから、過度に魅力的な商品の裏側では相応のリスクが存在すると考えるべきだと思います。
そのようなリスク商品に投資を行った結果、保有資産の多くを失ってしまったといった例は枚挙にいとまがありません。ご自分の金融資産、年齢、投資経験、年収等に見合ったリスク投資を行うことが肝要だと思います。
- 2.過去のデータが取れない商品には注意する
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投資家の目を引くため、日々新しい金融商品が開発されています。このような比較的歴史の浅い商品に投資する場合に気をつけるべきことが、過去の値動きのデータが少ないことが挙げられます。
私自身はパソコン上で計算された、いわるゆるバックテストのような結果ではなく、実際に投資を検討している商品が、投資家が購入出来るようになってからの運用成績をしっかり確認して、お客さまへご提案を行うようにしています。皆様も過去のデータをしっかり確認して投資を行うことをおすすめします。
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〈加入協会〉
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