【IFAコラム】60代の富裕層におすすめしたい資産運用の考え方
2024年1月16日(火)
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルの所属IFA、亀井岬と申します。
金融資産を1億円以上保有される富裕層の方々からご相談をお受けしております。
専門家や機関投資家が愛用するブルームバーグの専用情報端末を利用し、債券分析やポートフォリオ分析を行っております。現在は数十世帯から数十億円の資産を仲介する証券口座で管理し、資産運用のアドバイスを行っております。
本日は「60代の富裕層におすすめしたい資産運用の考え方」についてお話させていだければと存じます。最後までご覧いただけましたら幸いです。
60代の富裕層におすすめしたい資産運用の考え方
インターネットを通じてご相談いただく60代の富裕層の方々に対して、私がお伝えしていることとして、3点にまとめてお伝えしていきたいと思います。
・債券を6割~8割程度組み入れたポートフォリオの検討
・長期債は相続を見据えて
・退職後のキャッシュフローを見据えた運用
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債券を6割~8割程度組み入れたポートフォリオの検討
まだまだ現役の方も多い60代の方のポートフォリオとして債券割合が多いのではないかとお感じになった方もいらっしゃるかもしれません。私自身は以下のような理由から債券割合を6割から8割程度まで高めたポートフォリオをまずはご検討いただくようにお伝えしております。
・退職後を見据えたリスクリターンに基づくポートフォリオの構築が必要
・流動性を意識した資産運用が必要
- 1.退職後を見据えたリスクリターンに基づくポートフォリオの構築が必要
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60代の大きな分岐点として、退職を通じて本業からの収入がなくなることが挙げられるかと思います。
働くことが生きがいと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、本業以外で充実した余生を過ごしたいと考える富裕層の方も多くいらっしゃいます。
充実した余生を過ごすためには安定的な収入や資産の取り崩しが必要かと思いますが、そのために退職後すぐにポートフォリオの構成を全面的に入れ替えることは、流動性の観点やマーケット状況などによりうまくいかないことも想定されます。
つまり60代の投資においては、退職後の資産運用におけるリスクとリターンを見据えたポートフォリオの構築を検討すべきだと考えております。
- 2.流動性を意識した資産運用が必要
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また次に60代の資産運用において重要なポイントとして、大きなライフイベント(大型支出を伴うもの)を意識することが挙げられるかと思います。
住宅をリフォームする、最後の住処となる住宅を購入するなど、家族構成の変化に伴う不動産支出が増加するタイミングも60代の支出の特徴であるかと思っております。
そういった中で意識すべき事は、一定割合の現金を確保しておくこと、あるいは有価証券の中で数年以内の現金化を前提としたポジションを確保しておくことだと思っております。
ところが実際には過去10年マーケット環境が右肩上がりであったことから、今後10年もそのような相場が続くだろうと楽観視している方が非常に多いように思います。
結果として大きな支出計画があるにもかかわらず、株式等の振れ幅の大きい資産が資産の大半となってしまっているポートフォリオが散見されます。
60代の資産運用においては、株式相場が全体として2割から3割程度下落している局面でも、大きな支出に耐えられるような、流動性を管理したポートフォリオ構築をおすすめしています。
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長期債は相続を見据えて
債券投資においては、昨今の現地通貨ベースでの利回り上昇から積極的な検討をされている富裕層の方も多くいらっしゃいます。では60代における債券運用について意識すべきこととは何でしょうか?
・75歳以上に満期が来る債券は相続のイメージも持つ
・次世代に承継させたい銘柄や通貨か
・次世代に対する投資教育を行うこと
- 1.75歳以上に満期が来る債券は相続のイメージも持つ
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60代における債券運用において1つ気をつけていただきたいことは、75歳以上で満期が来るような債券投資を行う場合です。一般的に60代の平均余命としては、残り20年程度を考える方が多いかと思います。
しかし人生は何が起こるかわかりません。満期が長い債券投資を行う場合には次世代への承継も視野に入れた形で投資を行うべきであると考えております。
そして次にお伝えするように次世代への承継も考えた場合には、銘柄や通貨にも注目して、商品選択を行っていただくようにご案内しております。
- 2.次世代に承継させたい銘柄や通貨か
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例えばご自分が資産を承継する立場にいらっしゃるとして、債券の格付けがダブルB以下のいわゆるハイイールド債、またはジャンク債と呼ばれるような債券、あるいはインフレ率が恒常的に二桁もするような新興国通貨建ての債券ばかりに投資したポートフォリオを引き継ぎたいと思われるでしょうか?
私が資産を承継出来る立場であれば、やはりドル建て債券で格付けがトリプルB以上の投資適格社債、あるいは国債を資産の中心にして引き継ぎたいと思います。
それぞれのお客様の相場感や投資に対するお考えはそれぞれかとは思いますが、私が相続を見据えた形でご提案を行う場合には、資産を承継する立場であれば、引き継ぎたいと感じるような資産構成が中心となるように心がけています。
その中で一部資産がリスクの高いものとなるは場合はあり得ると思います。しかしやはり核となる資産は、将来の日本を含めた世界情勢を勘案した上で、次世代が保有したいと思える資産内容であるべきと考えております。
- 3.次世代に対する投資教育を行うこと
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しかし実際には親世代が次世代に資産を承継するつもりでポートフォリオを組んだとしても、相続が起こったタイミングでは、次世代の投資に対する知識不足から換価手続き(換金手続き)に進んでしまうことが起こっています。
基本的に換価手続きはマーケットのタイミングを無視して途中売却を行うもので、メリットが少ないと私は考えています。
相続税を支払うために資産を売却するのであれば仕方のない部分もありますがそうでないのであれば、次世代が資産を承継し、マーケットタイミングを見ながらポートフォリオの入れ替えを検討いただくことをおすすめしたいです。
一方で実際に有価証券を相続する際に問題となっているポイントが投資知識に関するものです。親世代には次世代が承継に困ることのないよう生前から投資教育の必要性をお伝えいただくとともに、積極的に私を投資教育のアドバイザーとして紹介いただくようにお願いしております。
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退職後のキャッシュフローを見据えた運用
最後に見落としがちなポイントとして、退職後にはキャッシュフローが大きく変わるため、それを前提としたポートフォリオの資産配分を意識しておくことについてお伝えしたいと思います。
・配当、利息、分配金への意識を持つ
・外国税額控除の取り扱い
- 1.配当、利息、分配金への意識を持つ
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配当金や債券の利息、ETFの分配金や投資信託の分配金等、いわゆる投資の果実と言われるキャッシュフローは、50代までの投資家であれば、どちらかと言うと受け取らずに再投資するか、そもそもそのような果実が表に出てこないような商品を選ばれる方が多いかもしれません。
一方で退職を意識すべき60代においては、投資の果実を獲得しながら資産運用が行える投資をするかどうかは検討すべき項目であると考えています。
ともすれば数千万円レベルでキャッシュフローが変動するのが富裕層の退職です。退職してからキャッシュフローを重視した投資商品に切り替えるのか、退職を見据えた形でそもそもポートフォリオの構成を考えるのかは、ポートフォリオ構築前に検討すべき項目であると思います。
- 2.外国税額控除の取り扱い
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外国税額控除は米国株式、米国ETFなどの投資を通じて、果実を得ようと考える場合には特に検討すべき項目ですが、退職によって年収が減少する場合には注意が必要です。
年収が減少したことによって、税額控除の対象となる税金が十分納められていないため、税額控除のメリットが得にくい、あるいは税額控除をするために確定申告を行うことが不利に働く場合が出てくるなど、年収を相応に稼がれていた時代では想定出来ないことが、退職によって生じています。
退職前から税理士などの専門家を巻き込んだ議論を行うなど、外国税額控除の取り扱いに関して退職前から把握しておくことをお勧めしています。
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〈加入協会〉
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(加入協会)
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〈加入協会〉
日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人日本STO協会
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