【亀井岬IFAコラム】今の1億円、10年前はいくら?富裕層の定義とは?

2025年5月14日(水)

株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルの所属IFA、亀井岬と申します。

金融資産を1億円以上保有される富裕層の方々からご相談をお受けしております。

専門家や機関投資家が愛用するブルームバーグの専用情報端末を利用し、債券分析やポートフォリオ分析を行っております。現在は数十世帯から数十億円の資産を仲介する証券口座で管理し、資産運用のアドバイスを行っております。

本日は「今の1億円、10年前はいくら?富裕層の定義とは?」についてお話しさせていただければと存じます。最後までご覧いただけましたら幸いです。

以下の関連記事はそもそもIFAとは何者かについて解説した記事となります。IFAについてあまり詳しくない方は合わせてお読みください。

またポートフォリオ見直し、債券に関すること、資産承継、投資教育など、ご相談に関しましては以下のフォームよりお申込み頂けましたら幸いです。(ご相談は金融資産1億円以上の富裕層の方々から承っております

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目次

今の1億円、10年前はいくら?富裕層の定義とは?

世の中は急速に変わっています。お金持ちとは何か、1億円の実際の価値、そしてお金との付き合い方—これらすべてが今、大きな転換点を迎えています。単に「いくら持っているか」だけでなく、お金に対する考え方や守り方が問われる時代になりました。

今回は、富裕層の意味を改めて考え、10年前と今では同じ金額でも買えるものがどう変わったのか、そしてこれからの時代にお金とどう向き合えばよいのかを一緒に考えていただければと思います

・富裕層の定義とは

・10年前の1億円の価値とは?

・「守り」から「攻め」へ:変わる時代が求める富裕層の心構えとは?

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富裕層の定義とは

「富裕層」と一言で言っても、その定義は国によって大きく異なります。日本と米国では、どのような基準で富裕層が定義されているのでしょうか?

それぞれの国の経済状況や社会背景を反映した興味深い違いがあります。本章では、野村総合研究所(NRI)や世界的な調査機関のデータを基に、日本と米国における富裕層の定義や最新の動向について詳しく解説します。特に日本では「いつの間にか富裕層」と呼ばれる新たな層の出現が注目されています。

日本における富裕層の定義とは?

・米国における富裕層の定義とは?

1.日本における富裕層の定義とは?

日本における富裕層の定義については野村総合研究所(NRI)が発表しているものが広く知られています。結論から申しますと、NRIは富裕層の定義を純金融資産で1億円以上5億円未満と定めています。

また2025年2月発表 野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)によると、日本の資産階層は純金融資産額で5区分されています。マス層(3,000万円未満)、アッパーマス層(3,000万円以上5,000万円未満)、準富裕層(5,000万円以上1億円未満)、富裕層(1億円以上5億円未満)、超富裕層(5億円以上)です。

調査結果によると、2023年時点で純金融資産1億円以上の富裕層と超富裕層を合わせた世帯数は165.3万世帯で、2021年の148.5万世帯から11.3%増加しました。内訳は富裕層が153.5万世帯、超富裕層が11.8万世帯となっています。両層の純金融資産総額は合計約469兆円と推計されています。

特筆すべき点として、「いつの間にか富裕層」という新たな層が注目されています。これは株式相場の上昇を受けて運用資産が急増し、富裕層となった層を指します。主に40代後半から50代の一般会社員で、従業員持株会や確定拠出年金、NISA枠の活用を通じて資産が1億円を超えたケースが多いとされています。

2.米国における富裕層の定義とは?

米国では富裕層(HNWI)の基準は一般的に「投資可能資産100万ドル以上」と定義され、Capgemini World Wealth Report 2024 では投資可能資産(居住用不動産や耐久財を除く)100万米ドル以上をHigh-Net-Worth Individual(HNWI)と定義しています。

またそれ以上の定義としては、「Millionaires Next Door(100万〜500万ドル)」「Mid-Tier Millionaires(500万〜3,000万ドル)」「Ultra-HNWI(3,000万ドル超)」の三階層に区分しています。

米国では日本に比べて富裕層以上の資産額区分が充実しており、それだけ多くの超富裕層が存在する実状がうかがえます。

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10年前の1億円の価値とは?

10年前の1億円の価値とはいくらでしょうか?表面上同じ1億円に見えても、その「実質価値」は確実に変化しています。過去10年で進行した日本のインフレと円の国際価値低下は、富裕層の資産にどのような影響を与えているのでしょうか?

・インフレの影響を考える

・為替の影響を考える

1.インフレの影響を考える

日本の消費者物価指数は2020年を100とすると、2015年平均が 98.2、2025年3月時点で 111.1 まで上昇しています。この10年間の累積インフレ率は約 13% となり、日本経済において、無視できない物価上昇が進行していると言えます。

このような物価の上昇傾向は、特に資産保全を重視する富裕層にとって大きな関心事となっています。単純計算すると、2015年当時の1億円で買えた商品・サービスを同じ水準で享受するには、いま約1億1,300万円 が必要になるわけです。

つまり、この10年間で資産価値は実質的に約1,300万円分目減りしたことになります。これは決して無視できない金額であり、資産運用や投資戦略を考える上で重要な指標となるでしょう。

実際には、消費者物価指数は全国平均的な家計の消費動向を反映したものであり、富裕層の実際の消費パターンとは異なる点に注意が必要です。

特に、富裕層が支出する高級マンションやインターナショナルスクールの学費などはCPI以上の値上がりが目立ち、体感的な”目減り率”は20〜30% と感じる人も少なくありません。これは高級品や特定のサービスにおけるインフレ率が一般的な消費財よりも高い傾向があるためです。

2.為替の影響を考える

インフレだけではありません。円という通貨自体の価値がこの10年で大きく揺れました。国際通貨市場における円の地位低下は、グローバルな視点で資産を管理する富裕層にとって無視できない重要な変化となっています。

特に米ドルとの観点で確認しますと、2015年の平均為替レートは 1ドル=約121円 で、当時の1億円は 約83万ドル に交換できました。

この時点では円の国際的な購買力もある程度維持されており、海外不動産投資や子女の留学費用などの支出計画も立てやすい状況でした。

ところが2025年は年初来で 1ドル=150円前後 と大幅な円安が進行。同じ1億円をドル転しても およそ67万ドル にしかなりません。ドル建て購買力は2割弱減少した計算です。

これは海外旅行や海外不動産購入、海外の教育機関への学費支払いなど、ドル建ての支出が多い富裕層にとって大きな負担増となっています。

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「守り」から「攻め」へ:変わる時代が求める富裕層の心構えとは?

インフレの加速と円安の進行という二重の課題に直面する日本の富裕層。この10年で消費者物価指数は13%上昇し、円の国際的価値は主要通貨に対して約20%下落しました。

このような環境下で資産価値を実質的に守り、さらに成長させるためには、従来の「安全志向」の資産運用からの脱却が求められているのではないでしょうか?

最後にこのような時代に求められる富裕層の心構えについてお伝えしたいと思います。

・デフレ時代ではなく、インフレ時代であることを認識する心構え

・グローバルな視点で資産を守る心構え

1.デフレ時代ではなく、インフレ時代であることを認識する心構え

今、私たちはモノやサービスの価格が少しずつ上がり続け、お金の価値が下がっていく「インフレの時代」に生きています。この数年で食品から日用品、サービスまで、多くのものの値段が上がり、この変化は無視できなくなっています。

インフレとは簡単に言うと、同じ一万円で買えるものの量が減っていくことです。現在の預金金利とインフレの関係ではお金を銀行に預けたままにしておくと、実際の価値が少しずつ減っていくのです。

例えば、以前は高級レストランでのディナーが二人で一万円だったものが、今では同じメニューで一万五千円かかるようになったとしたら、これはまさに購買力の低下を体感する瞬間です。同じ体験を得るのに、より多くのお金が必要になっているのです。

昔は預金の金利が高かった時代がありました。しかし今は預金金利がとても低いままです。こうした状況では「お金を動かさない」ことが、実は大きなリスクになる可能性があります。預金額が減らなくても、物価が上がれば実質的な価値は毎年減っていくからです。

例えば、退職後の生活を考えていた経営者が、老後の生活資金を現金で持っていたところ、高級老人ホームの入居金や月額利用料が数年前の想定よりも大幅に上昇し、予定していた快適な老後生活の水準を維持できなくなる可能性に気づいたという例があります。

資産を考えるとき、大切なのは「お金の額面」ではなく「そのお金で何ができるか」という「実質的な購買力」です。貯金の数字が増えているかどうかより、その貯金で実際に何が買えるかが重要なのです。

そのため、インフレ率よりも高い利回りが期待できる投資先を上手に組み合わせ、リスクを抑えながら継続的なリターンを得ることが「守り」につながる時代になっています。インフレの時代に大切なのは「名目上の金利」ではなく「実質的な購買力を保つこと」です。

インフレ時代を生き抜くには、「お金を動かさないことが安全」という考え方を変える必要があります。むしろ、お金を動かさないことがリスクになる時代なのです。実質的な購買力を守るための適切な資産運用こそが、今の富裕層に求められる「賢い守りの姿勢」と言えるでしょう。

2.グローバルな視点で資産を守る心構え

視野を日本だけでなく世界に広げると、もう一つ大切な要素が見えてきます。それが「為替」です。円の価値はこの数年で大きく変動し、国際的な円の地位低下は、世界的な視点で資産を考える富裕層にとって無視できない変化となっています。

例えば、ある医師が長年の夢だったニューヨークのマンハッタンに家族で住むという計画を立て、数年前から円資金を準備していたとします。

しかし、現在の為替水準はその夢にどのような影響を与えるでしょうか?いざ購入のタイミングとなったとき、円安の進行により当初の予算では希望するエリアやグレードの物件が購入できなくなってしまうかもしれません。円ベースでの資産管理だけを行っていたため、為替の変動によって夢が遠のいてしまう可能性があるのです。

さらに、定年退職後にハワイで半年、日本で半年という生活を送っていた元会社役員のケースがあったとします。ここでは円安の進行によってハワイでの生活費が膨らみ、滞在期間を徐々に短縮せざるを得なくなるかもしれません。

現在の為替の値動きは、日本円だけで資産を保有し続ける富裕層にとって、想定したライフスタイルの維持に影響を与えるかもしれません。

円安が進むと、海外での生活や投資にかかる費用は一気に高くなります。円だけに資産を集中させて「動かさない安全」を求めても、為替という外からの要因が簡単にその「安全」を揺るがしてしまうのです。

このようなリスクを減らす方法の一つが「通貨分散」への考え方の切り替えです。通貨を円だけない通貨に分散することで、特定の通貨や地域の変動に左右されにくい資産の組み合わせを作ることができます。

ある資産家は、数年前から資産の三分の一を外貨建て資産で保有する戦略を取り入れました。当初は円安の進行によってドル建て資産の円換算価値が上昇し、全体のポートフォリオのパフォーマンスを大きく押し上げました。

その後、一時的に円高に振れた局面があっても、長期的な視点で資産を維持し続けたことで、最終的には安定した資産形成に成功しています。大切なのは、短期的な上下の動きを恐れて機会を逃すよりも、長期的な実質購買力を守る方が最終的な生活の質の維持につながるという考え方です。

最後に、世界的な視点を持つことは、単に海外に投資するということではありません。それは、自分のお金が世界の経済状況によってどう影響を受けるかを常に意識し、変化に柔軟に対応できる心構えを持つということです。

日本だけの視点にとらわれず、世界の動きを先読みし、リスクとリターンのバランスを取りながら分散投資を実践する姿勢が、これからの変化の激しい時代を生き抜く富裕層の知恵と言えるでしょう。

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私にご相談いただくメリット

今回の記事は皆さまのお悩みやご関心に沿うものとなっていたでしょうか?私は冒頭でお示ししましたように、金融資産を1億円以上保有される富裕層の方々から投資に関するご相談をお受けしております。

以下は手前味噌ではございますが、ご相談の際に特にご好評を頂き「亀井に相談して良かった。」とおっしゃっていただいているポイントでございます。

  • 専用情報端末を使ったリスク分析債券分析
  • 大学での講師経験に基づいたライフプラン作成
  • 蓄積された富裕層に対する資産運用アドバイスの経験
1.専用情報端末を使ったリスク分析・債券分析

私はプロの機関投資家も愛用するブルームバーグという専用情報端末を用いて、様々な分析を行っています

ブルームバーグは相応の費用がかかることもあり、IFAとして活動しているアドバイザーは日本に数千人存在しますが、このシステムを導入しているようなアドバイザーは1%もいないのではないでしょうか。

少なくとも私は過去1人しかお話を伺ったことはございません。ブルームバーグを用いることで、①ポートフォリオがどれだけのリスクを取って運用されているのか ② リーマンショックなどの大きなショックが起こった際の最大損失シミュレーション ③ ご相談者ごとの理想的な資産配分等の分析が行えます。

実際に分析を行わせて頂いたお客様からは、「リスクに非常に偏りがあったことがわかった。」など、さまざまなご感想を頂いております。

また債券は一般にはその情報が公開されていることが少ないため、上述のブルームバーグのような専用情報端末を用いた分析が欠かせません。債券の値動き分析、ご要望に合わせた債券の発掘など様々な側面でお役に立つお話をさせて頂いております。

2.大学での講師経験に基づいたライフプラン作成

私は2023年4月より2年間にわたって、年に26コマ、私立大学にて『投資教育・ライフプランニング』の講義を行ってまいりました。その経験で培ったライフプランニングの考え方に基づき、ご相談者様それぞれのお立場に合わせたライフプランニング作成を行っています。

3.蓄積された富裕層に対する資産運用アドバイスの経験

野村證券では、シンガポール社費留学時代に数十人の海外プライベートバンカーと面談を行い、海外の運用手法を研究しました。また帰国後、超富裕層に対して資産運用アドバイスに従事したのち、三菱UFJメリルリンチPB証券に転職し、債券知識の研鑽に努め、現在まで16年に亘って富裕層の方々に対する資産運用アドバイスを行っております。

どのようなお悩みでも構いません。よろしければ亀井岬までご相談くださいませ。この度は長文をお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

ご相談

ポートフォリオ見直し、債券に関すること、資産承継、投資教育など、ご相談は以下のフォームよりお申込みくださいませ。(ご相談は金融資産1億円以上の富裕層の方々から承っております

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金融商品仲介業者  関東財務局長(金仲) 第314号

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本記事はある特定の投資目的や金融ポジション、あるいは特定のニーズにこたえたものではありません。将来的には予想通りの結果とならない可能性があります。本資料で取り上げられている投資対象や投資戦略の適正については投資アドバイスを受けることをお勧めします。投資利益あるいは投資対象の価格・価値は変動する可能性があり、投資収益が投資額を下回る場合もあります。

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〈加入協会〉
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