【債券投資】米ドル建て債券(米国債やストリップス債含む)のデメリット
2024年2月14日(水)
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルの所属IFA、亀井岬と申します。
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本日は「米ドル建て債券(米国債やストリップス債含む)のデメリット」についてお話させていだければと存じます。最後までご覧いただけましたら幸いです。
米ドル建て債券(米国債やストリップス債含む)のデメリット
昨年からの金利上昇により注目度が高まっている債券投資についてそのデメリットと考えられる部分についてお話ししていきたいと思います。
・円高ドル安でも、その理由によっては債券価格の上昇が見込めない可能性がある
・債券のポートフォリオを組むことが株式のポートフォリオほど容易ではない
・短期的な値上がりを狙った売買には適さない
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円高ドル安でもその理由によっては債券価格の上昇が見込めない可能性がある
一般的に円高になる局面では米国の金利低下も見込まれることから、債券価格の上昇と円高要素が打ち消し合うとお考えになる方も多いかと思います。
確かにそのような傾向が見られる局面も存在します。しかし注意しなければならない点として、そのように相殺し合わないパターンも起こりうるということです。それでは考えられる状況をいくつかお伝えしたいと思います。
・日本事由による円高
・米国発の信用不安によるドル安
- 1.日本事由による円高
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まず日本事由による円高という状況が考えられるかと思います。具体的にはどのような状況でしょうか。例えば日本銀行の金融政策がタカ派となり、マーケットの想定以上の短期金利の引き上げがあった場合が考えられます。
このような局面では日本の10年国債の利回りも上昇する可能性が考えられます。一方で米国金利が一定であると仮定すると、日米の金利差は長期、短期ともに縮小する形となります。
日米の金利差の縮小により円高となることは可能性として十分考慮されるべき一方で、米国金利には変化がないことから債券のドルベースの価値にはほとんど変化が起こらないこともあり得ます。
結果的に債券価格の上昇を伴わない円高となり、円ベースの評価額のみ下落する可能性が考えられます。
- 2.米国発の信用不安によるドル安
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米国発の信用不安によるドル安とはどのような局面でしょうか。例えばサブプライムローンからリーマンショックへの流れは米国全体の信用不安を引き起こすものでした。
当時は株式マーケットのクラッシュと米国短期金利の引き下げも相まって、為替は円高ドル安方向に大きく振れました。金利が引き下げられたわけですから、債券価格は上昇しただろうと思われる方も多いかもしれません。
しかし実際には米国を中心とした金融機関の信用不安が、金融機関を中心とした社債の価格を引き下げる結果となりました。
つまり債券の種類によってはアメリカの金利が低下していたにもかかわらず、債券価格も下落し、かつその流れに円高が追い打ちをかけるという厳しい状況となりました。
このように国債に比べて社債は金利だけでなく、マーケットやその発行体自体の状況により価格が上下するため、思惑通りにいかないことも想定されます。
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債券のポートフォリオを組むことが株式のポートフォリオほど容易ではない
次にポートフォリオ投資の観点から、個別債券ポートフォリオを組むことについて、その問題点をお伝えしていきたいと思います
・債券の種類は無数にある一方で情報は限定的
・値動きが管理しづらい
・債券の規制動向が把握しづらい
- 1.債券の種類が無数にある一方で情報は限定的
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最近は楽天証券の債券マルシェやSBI証券などのサービスを通じて、ネット証券で債券を購入可能な仕組みが普及してきました。
しかし債券は同じ発行企業でも満期が複数あり、調達する通貨も異なるなど、その種類は多種多様です。また実際にネット証券が取り扱っている銘柄は世界中のごく一部の債券であり、世の中には本当に多くの債券が存在しています。
ところがそのような債券の中で、どの銘柄を、どれくらいの満期で、どの通貨で保有すべきなのか、といった具体的な情報については、株式に比べてSNS上でも限定されているように思います。
つまりネット証券で債券を直接購入出来るようになったものの、分散した債券ポートフォリオを組むために肝心な情報収集のツールが株式に比べて限定されているため、ポートフォリオの構築の難易度が高いことは否めません。
- 2.値動きが管理しづらい
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とりわけポートフォリオ管理を難しくしているポイントとして債券価格が把握しづらいという問題が挙げられるかと思います。
アドバイザーをつけずにネット証券で債券を購入できるようになった現状でも、その債券の現在価格、過去の値動きなどを必要なタイミングで把握する術は個人投資家には少ないように思います。
私は投資において、保有商品が予想した値動きをしているかどうかを確認することは非常に重要であると思っています。例えばアメリカの金利低下を想定し債券を購入したとします。
実際にアメリカの金利低下がまさに起こり始めたタイミングで、自分が購入した債券が予想通りの値動きとなっているのか確認出来なくて、どのように次の投資計画を立てることが出来るでしょうか。
マーケットと発行体の状況により、個別債券の値動きは異なってきます。そういった値動きの違いという生の情報をリアルタイムで蓄積する機会が債券投資においては少ないように思います。
- 3.債券の規制動向が把握しづらい
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最後に債券は発行するタイミングで目論見書と呼ばれる勧誘する際の説明文書のようなものを発行し、条件をしっかり決めた上で資金調達を行っていることが通常です。
担当者をつけずにネット証券で債券投資を行う場合にも、そういった取り決めを事前に把握する事が重要だと考えます。そしてそういった取り決めは世界各国の様々な規制に基づくものも多く見られます。
世界各国の規制動向を知らずに、債券投資を行う事は個人的にはお勧めできませんが、個人投資家としてそのような規制について把握する事は容易いことではありません。
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短期的な値上がりを狙った売買には適さない
最後に債券投資が株式投資に比べて短期売買に適さない点についてお話したいと思います。
・金利低下で債券価格が上昇したとしてもその後どうするのか
・ネット証券だからといってコストが安いかどうかを把握しづらい
- 1.金利低下で債券価格が上昇したとしてもその後どうするのか
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債券において価格が上昇し短期売買を考える局面はどのような場面でしょうか。基本的には2つ考えられます。1つ目は金利低下により債券価格が上昇する場面です。
2つ目は発行している会社や国の信用状況が改善し、価格が上昇する場面です。では金利低下によって保有している債券価格が上昇したとして、実際にその債券を売却して別の債券を購入する場合、どのようなことが想定されるでしょうか。
ポイントとして、基本的には保有している債券価格が金利低下により上昇したのであれば、購入を検討する債券も金利低下により価格が上昇している可能性が挙げられます。
つまり高くなったものを売却して、高くなったものを購入することを検討する流れとなります。株式も同じではないかとお考えになられた方もいらっしゃるかもしれません。
株式と債券で明確に異なるのは上場市場を通じた売買か相対取引かということです。債券の売買は株式と異なり、上場市場を通さずに相対取引で売買を成立させることが通常です。
結果的に証券会社や債券を仲介する業者に株式の売買手数料に比べて高いコストを支払う可能性が考えられ、最終的に短期売買をせずにそのまま保有しておいた方が経済合理性があったという状況も起こり得ると思っております。
- 2.ネット証券だからといってコストが安いかどうかを把握しづらい
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引き続きコストのお話になります。株式投資においては、ネット証券で担当者をつけずに株式を購入した場合、購入時にいくらの手数料がかかるのかと言うことが明示されることが一般的です。
一方で債券投資ではどうでしょうか?基本的に債券に係る手数料は購入価格に含まれているため、取引明細を見ても債券購入においてどれだけのコストを支払ったのかを把握することは困難です。
銘柄ごとにコストが違うのか、満期までの期間に応じてコストが違うのか、格付けによってコストが違うのか、債券のコストのイロハが分かれば債券投資戦略を立てやすくなるかもしれませんが、そういった情報は原則開示されていません。
コストに関する情報が不十分なまま投資を行う必要があるのが現状の債券投資の実態であり、やはり短期売買にはそぐわないと考えます。
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