【亀井岬IFAコラム】富裕層の節税:ふるさと納税と税務調査

2025年8月19日(火)

株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルの所属IFA、亀井岬と申します。

金融資産を1億円以上保有される富裕層の方々からご相談をお受けしております。

専門家や機関投資家が愛用するブルームバーグの専用情報端末を利用し、債券分析やポートフォリオ分析を行っております。現在は数十世帯から数十億円の資産を仲介する証券口座で管理し、資産運用のアドバイスを行っております。

本日は「ふるさと納税と税務調査」という内容についてお話させていだければと存じます。最後までご覧いただけましたら幸いです。

※本記事はふるさと納税に関する一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な税務相談を行うものではありません。ご自身の状況に応じた税務判断や申告書の作成については、必ず税理士にご相談ください。

またポートフォリオ見直し、債券に関すること、資産承継、投資教育など、ご相談に関しましては以下のフォームよりお申込みいただけましたら幸いです。(ご相談は金融資産1億円以上の富裕層の方々から承っております

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目次

ふるさと納税と税務調査

ふるさと納税はお得な納税方法としても広く利用されていますが、その裏で思わぬ税務リスクが潜んでいることをご存じでしょうか?特に、返礼品が「一時所得」として課税対象になるケースは、見落とされやすいポイントです。

この記事では、一時所得の基本から、返礼品の評価方法、そして高額な寄附を行う方にとって注意すべき税務調査リスクまで、わかりやすく解説します。ふるさと納税を活用する前に、ぜひ押さえておきたい情報をまとめました。

・一時所得とは?

・返礼品と一時所得の関係とは?

・税務署からお尋ねの可能性はあるのか?

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一時所得とは?

一時所得という言葉を耳にする機会はあっても、具体的な内容を正しく理解している方は少ないのではないでしょうか?一時所得は、給与や事業収入のような継続的な収入とは異なり、偶然や臨時の要因で発生する所得を指します。

たとえば、保険の満期金や懸賞金、キャンペーンの当選景品などが代表例と言われています。本章では、一時所得の定義や特徴、具体的な種類を詳しく解説し、なぜ税務上注意が必要なのか、その理由を整理します。

・一時所得の定義とは?

・一時所得の種類とは?

1.一時所得の定義とは?

一時所得とは、一般的に継続的な事業活動や労務の対価ではなく、偶発的に得られる所得を指します国税庁の定義によると、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得」とされています。

つまり、日常的な給与や事業収入とは異なり、突発的・臨時的な収入をイメージすると分かりやすいでしょう。一時所得の特徴は一般的に次の3つとされています。

  • 継続性がないこと:給与や事業のように、定期的に発生する収入ではありません。
  • 労働や事業の対価ではないこと:労務提供や営業活動に対する報酬ではなく、別の要因で発生します。
  • 偶然や臨時で発生すること:たとえば、懸賞の当選や保険金の受け取りなど、予期しない機会に得られる収入です。

これらの条件を満たす収入は、一般的に一時所得として取り扱われると考えられています。

2.一時所得の種類とは?

・満期保険金、解約返戻金

生命保険や損害保険の契約をしていると、満期や特定の条件を満たしたときにまとまったお金を受け取ることがあります。たとえば、10年満期の生命保険で、満期時に支払われる満期保険金や、火災保険で被害を受けた際に受け取る損害保険金が該当すると言われています。一般的に、こうした保険契約に基づく一時的な支払いは、給与や事業収入とは異なり「臨時の収入」とみなされ、一時所得に分類されるとされています。

・懸賞金や払戻金

懸賞に当選したときにもらえる賞金、キャンペーンの当選景品なども一時所得の代表例とされています。さらに、競馬や競輪で当たった際に受け取る払戻金も含まれます。こうした収入は偶然性が強く、継続的な収入ではないため、一時所得として取り扱われることが一般的です。 宝くじの当選金は非課税ですが、それ以外の懸賞金や払戻金には注意が必要です。

・法人からの贈与

企業から特別な理由で贈られる金銭や物品も一時所得に含まれると考えられています。たとえば、取引先企業からキャンペーンの一環で高額な商品券やギフトを受け取った場合などが該当するケースがあります。一般的に、法人からの贈与は「臨時的なプレゼント」と考えられますが、課税対象となる可能性がある点には注意が必要です。

・報労金

拾得物を警察に届け、その後落とし主が見つかったときに受け取る謝礼や、埋蔵物を発見した際の報奨金も一時所得の一種として考えられています。これらは予測できない偶発的な出来事によって発生する報酬であり、継続的な所得とは異なるため、一般的に一時所得として扱うとされています。

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返礼品と一時所得の関係とは?

ふるさと納税の返礼品は、多くの方にとって「寄附へのお礼」という認識でしょう。しかし、返礼品は税務上「一時所得」として扱われることがあります。

この点を理解していないと、申告漏れや余計な税負担のリスクにつながる可能性があります。本章では、なぜ返礼品が一時所得に分類される可能性があるのか、その法的根拠をわかりやすく説明します。

また、返礼品の評価額をどのように計算するのか、よく言われる『3割基準』や高額返礼品における注意点についても詳しく解説します。

・なぜ返礼品が一時所得に該当する可能性があるのか?

・返礼品の評価額とは?

1.なぜ返礼品が一時所得に該当する可能性があるのか?

ふるさと納税を行うと、寄附先の自治体からさまざまな返礼品を受け取ることができます。この返礼品は、一般的に「寄附のお礼」だと考えられていますが、税法上は一時所得に該当する可能性があることをご存じでしょうか?

その根拠は、地方公共団体が税法上「法人」として扱われる点にあります。所得税基本通達34-1は、一時所得の例示として「法人から贈与された金品」を挙げています。自治体も法人に含まれるため、自治体から受け取った返礼品は、税法上「法人から贈与された金品」とみなされる可能性があるとされています。

過去には「返礼品は寄附の対価だから、課税対象にならないのではないか」という主張もありました。しかし、国税不服審判所の判断では、返礼品は寄附の対価ではないと示された事例があります。

返礼品はあくまでも自治体の裁量で提供される謝礼であり、寄附金額に応じた「購入」ではないという判断がなされたと言われていまです。このような流れからも一般的に返礼品は寄附の見返りに必ず発生するものではなく、「臨時的な法人からの贈与」として取り扱うのが一般的とされています。

2.返礼品の評価額とは?

ふるさと納税の返礼品を一時所得として申告する場合、最も重要なのは返礼品の「評価額」、つまりどれくらいの価値があるのかという点です。

一般的に税務上の原則では、返礼品の評価額は受け取った時点での時価(市場価格)を使います。たとえば、家電製品を返礼品として受け取った場合、その製品が一般的にいくらで販売されているかが基準になります。

しかし、ここで大きな問題があります。返礼品には地域特産品や限定商品など、多種多様な品目があります。それぞれの正確な市場価格を調べて申告するのは、現実的にとても手間がかかるのです。

結果として実務上、返礼品の評価額を寄附額の3割として計算するケースは多く見られますが、これはあくまで便宜的な方法であり、総務省が自治体に対して『返礼品の調達額は寄附額の3割以下』と要請していることが背景にあります。

ただし、この3割基準は国税庁が公式に定めたルールではないとされており、税務調査などで本来の時価(市場価格や調達価格)で評価される可能性も考えられます。ご自身の判断で申告する際は、その点を留意する必要がありそうです。

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税務署からお尋ねの可能性はあるのか?

富裕層もふるさと納税を積極的に活用されています。一方で、高額な寄附をした場合や他の一時所得と重なる場合には、税務署から確認の連絡を受けるリスクがあると言われています。

また特別控除額50万円の仕組みや、一時所得の計算ルールを正しく理解しないまま申告を怠ると、思わぬ税負担やペナルティが発生する恐れがあります。

本章では特に注意すべきと言われているポイントについて詳しく紹介します。

・ふるさと納税額が高額の場合

・別の一時所得がある場合

1.ふるさと納税額が高額の場合

ふるさと納税の返礼品が一時所得として扱われた場合、一定額を超えると課税対象となり、場合によっては税務署から「お尋ね」や申告漏れの確認連絡がくる可能性があります。ここで他の所得と合算し、一時所得として総所得金額に加算する額”は次の式で求めるとされています。

(総収入金額(返礼品の評価額)− 必要経費− 特別控除額50万円) ÷ 2

ここで重要なのは、年間50万円の特別控除額です。この控除によって、返礼品の評価額の合計が50万円以内であれば課税は発生しないとされています。

しかし、返礼品の評価額が50万円を超えると課税対象となる可能性があります。例えば完全に架空のケースを考えてみましょう。仮にある人が一年間に様々な自治体から返礼品を受け取り、それらの『返礼品評価額』の合計額が60万円であったとします。

この場合、特別控除額50万円を超える10万円が一時所得の計算の基礎となり、その2分の1である5万円が課税所得に算入されることになります。

こうしたケースでは、申告をしなければ税務署から問い合わせが来るリスクが高まります。特に、寄附金額が数百万円規模になる富裕層の方は注意が必要です。

2.別の一時所得がある場合

さらに見落としやすいのが、特別控除額50万円は一時所得全体で一度しか使えないというルールです。つまり、ふるさと納税の返礼品以外に、他の一時所得がある場合、その分も合算して判定します。

たとえば、保険の満期一時金で特別控除額をすべて使い切ってしまった場合を考えてみましょう。このとき、ふるさと納税の返礼品評価額は全額が課税対象となります。

富裕層の場合、高額な生命保険の満期保険金、投資キャンペーンのキャッシュバック、懸賞金やその他の報奨金のような一時所得を同一年に複数受け取るケースが珍しくありません。結果として、想定外の税負担が発生するリスクがあります。

ふるさと納税を積極的に活用される方、特に高額な寄附をされる方や他に一時所得がある方は、ご自身の年間の一時所得について一度確認し、必要に応じて申告を検討されるとよいでしょう。ご不明な点があれば、必ず税務署や税理士などの専門家にご相談ください。

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私にご相談いただくメリット

今回の記事は皆さまのお悩みやご関心に沿うものとなっていたでしょうか?私は冒頭でお示ししましたように、金融資産を1億円以上保有される富裕層の方々から投資に関するご相談をお受けしております。

以下は手前味噌ではございますが、ご相談の際に特にご好評をいただき「亀井に相談して良かった。」とおっしゃっていただいているポイントでございます。

  • 専用情報端末を使ったリスク分析債券分析
  • 大学での講師経験に基づいたライフプラン作成
  • 蓄積された富裕層に対する資産運用アドバイスの経験
1.専用情報端末を使ったリスク分析・債券分析

私はプロの機関投資家も愛用するブルームバーグという専用情報端末を用いて、様々な分析を行っています

ブルームバーグは相応の費用がかかることもあり、IFAとして活動しているアドバイザーは日本に数千人存在しますが、このシステムを導入しているようなアドバイザーは1%もいないのではないでしょうか。

少なくとも私は過去1人しかお話を伺ったことはございません。ブルームバーグを用いることで、①ポートフォリオがどれだけのリスクを取って運用されているのか ② リーマンショックなどの大きなショックが起こった際の最大損失シミュレーション ③ ご相談者ごとの理想的な資産配分等の分析が行えます。

実際に分析を行わせていただいたお客様からは、「リスクに非常に偏りがあったことがわかった。」など、さまざまなご感想をいただいております。

また債券は一般にはその情報が公開されていることが少ないため、上述のブルームバーグのような専用情報端末を用いた分析が欠かせません。債券の値動き分析、ご要望に合わせた債券の発掘など様々な側面でお役に立つお話をさせていただいております。

2.大学での講師経験に基づいたライフプラン作成

私は2023年4月より2年間にわたって、年に26コマ、私立大学にて『投資教育・ライフプランニング』の講義を行ってまいりました。その経験で培ったライフプランニングの考え方に基づき、ご相談者様それぞれのお立場に合わせたライフプランニング作成を行っています。

3.蓄積された富裕層に対する資産運用アドバイスの経験

野村證券では、シンガポール社費留学時代に数十人の海外プライベートバンカーと面談を行い、海外の運用手法を研究しました。また帰国後、超富裕層に対して資産運用アドバイスに従事したのち、三菱UFJメリルリンチPB証券に転職し、債券知識の研鑽に努め、現在まで16年に亘って富裕層の方々に対する資産運用アドバイスを行っております。

どのようなお悩みでも構いません。よろしければ亀井岬までご相談くださいませ。この度は長文をお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

ご相談

ポートフォリオ見直し、債券に関すること、資産承継、投資教育など、ご相談は以下のフォームよりお申込みくださいませ。(ご相談は金融資産1億円以上の富裕層の方々から承っております

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株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル

金融商品仲介業者  関東財務局長(金仲) 第314号

個別相談ではご紹介する商品等の勧誘を行う場合があります。各商品等にご投資いただく際には商品毎に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。 又、各商品等には価格の変動等による損失を生じる恐れがあります。

金融商品を対象とした投資には、金利、通貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標にかかる変動を直接の原因として価格が変動するリスクにより、損失を被ることがあります。また、信用リスク、流動性リスク、権利行使期間・契約解除期間の制限などを原因としても、損失を被るリスクが伴います。外貨建て投資では、為替相場の変動により、円貨で計算した場合に投資元本を割り込み損失を被ることがあります。

各商品等へのご投資にかかる手数料等およびリスクについては、当該商品等の契約締結前交付書面、目論見書、お客様向け資料等をよくお読みになり内容について十分にご理解ください。

本記事は、ご投資家の皆様に対して、投資に関する一般的な情報の提供を目的として作成されたものであり、記載されているデータまたは意見や予測は金融商品の売買の勧誘等の意図は一切含むものではありません。本資料のデータは各種の情報源から入手したものですが、その正確性を保証するものではありません。過去のデータは必ずしも将来の動向を示唆するものではありません。将来的に期待したリターンが得られるとは限らず、実際の収益を確約するものではありません。

本記事はある特定の投資目的や金融ポジション、あるいは特定のニーズにこたえたものではありません。将来的には予想通りの結果とならない可能性があります。本資料で取り上げられている投資対象や投資戦略の適正については投資アドバイスを受けることをお勧めします。投資利益あるいは投資対象の価格・価値は変動する可能性があり、投資収益が投資額を下回る場合もあります。

投資に関する最終決定は、お客さまご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。

所属金融商品取引業者等

楽天証券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長 (金商)第195号


〈加入協会〉
日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本商品先物取引協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会

株式会社SBI証券

金融商品取引業者 関東財務局長 (金商)第44号、商品先物取引業者
〈加入協会〉

日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会

あかつき証券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長 (金商)第67号
〈加入協会〉

日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会

東海東京証券株式会社

金融商品取引業者 東海財務局長 (金商)第140号
〈加入協会〉
日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会一般社団法人日本STO協会

野村アセットマネジメント株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長 (金商)第373号
〈加入協会〉
一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

・当社は所属金融商品取引業者等の代理権を有しておりません。

・当社は、いかなる名目によるかを問わず、その行う金融商品仲介業に関して、お客様から金銭若しくは有価証券の預託を受けることはありません。

・所属金融商品取引業者等が二以上ある場合、お客様が行おうとする取引につき、お客様が支払う金額または手数料等が所属金融商品取引業者等により異なる場合は、商品や取引をご案内する際にお知らせいたします。

・所属金融商品取引業者等が二以上ある場合は、お客様の取引の相手方となる所属金融商品取引業者等の商号または名称を商品や取引をご案内する際にお知らせいたします。

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